2024年も早くも半分が過ぎ、猛暑到来となっています。鹿児島県内においては今のところ梅雨による大雨の被害などは報告されていないようで、ほっとしているところです。完全な梅雨明け宣言はもう少し先のようですので引き続き雨に関する警戒は怠らないようにしたいと考えています。
昨年同月と比較して発熱患者が多い印象があります。昨年は開業したばかりで当院の認知度が低かったことも原因かと思いますが、連日発熱患者さんの対応に追われています。暑い中での防護服対応となりますので冬に比べれば同じ作業でも疲労度は大きいと感じます。発熱対応に当たってくれている当院スタッフの皆様に感謝申し上げます。院長自身も防護服の暑さのせいかダイエットに成功しています。
本日は血圧についてのお話です。先日患者さんから「先生、私は血圧の薬を飲まないといけないのでしょうか?」と質問をうけました。よく話を伺うと2024年4月から高血圧の基準が変わったのではないかとの事でした。実は高血圧の診断基準はこれまで数回改訂されています。以前は年齢+90までは大丈夫?といった基準もあったようですが、私が医師として勤務するようになってからは収縮期血圧140以下という診断基準に大きな変更はありませんでした。現時点(2024年7月)での高血圧の診断基準は2019年に日本高血圧学会が発行した高血圧治療ガイドライン2019が最新なのでやはり140/90というのが正しい数値になります。例えば米国では米国心臓協会学術集会(AHA2015)で発表されたSPRINT試験(血圧は120以下に抑える方が良い)を基に、高血圧症の診断基準は130/80未満に引き下げられています。それぞれの地域ごとに診断基準が異なる理由は、人種、気候、食生活などがそれぞれの地域で異なるからです。血圧は低い方が血管に与えるダメージは小さいと考えることは理論上正しいと思われ、今後日本でも米国と同じように診断基準が引き下げられるのではないかと考えています。先述の患者さんがなぜ血圧の診断基準が変わったのかと思われたかについてですが、全国健康保険協会(協会けんぽ)が推奨する未治療の方への受診勧奨基準(血圧がこれ以上なら病院に行って治療してくださいねということ)が140/90であったものが2024年4月から160/100に変更されたということを勘違いされただけのようです。なぜこのような改訂が行われたのか疑問に思うことはありますが、全国健康保険協会としても単に医療費の増大を抑制するためではなく、多数のレセプトデータを基に何らかの根拠を持って改訂したと信じたいところです。
当院としてはこれまで通り高血圧症の患者さんに対してはまずは食事、運動の指導をして降圧剤が必要な方には適切な薬をお出しするという方針に変わりはありません。そのためには1,ご自宅での血圧測定、2,血圧手帳への記載、3,来院時に血圧手帳を持参していただく ことが重要です。朝などは慌ただしく煩雑ではあるかと思いますがご自身の健康のためによろしくお願いいたします。 (院長 牧尾 善幸 血圧は130以下です)