骨粗鬆症薬の比較試験について

当院が開業して1か月が経ちました。多くの患者さんにご来院いただき、現在長い待ち時間が発生していることをお詫び申し上げます。この1か月の印象としては、1,骨密度検査を受けていない方が思ったよりも多い、2,骨折の既往もなくご本人は無症状ですが、YAMが50%を下回っている患者さんも多い という骨粗鬆症に関連した問題を感じています。

来院された患者さんにお声かけをさせていただき、骨粗鬆症の発見、治療に努めなければと考えています。

2023年5月2日のBritish Medical Journal誌(世界5大医学雑誌)に

Fracture risk reduction and safety by osteoporosis treatment compared with placebo or active comparator in postmenopausal women: systematic review, network meta-analysis, and meta-regression analysis of randomised clinical trials

のタイトルで論文が掲載されました。

閉経後の女性に対し処方される多様な骨粗鬆症薬の骨折リスク軽減効果を比較した試験です。主要アウトカムは臨床的骨折で副次アウトカムは椎体骨折、非椎体骨折に設定されています。対象に含まれる治療薬はビスホスホネート、デノスマブ、SERM、副甲状腺受容体作動薬、ロモソズマブです。

結果は臨床的骨折についてはビスホスホネート、副甲状腺受容体作動薬、ロモソズマブがプラセボより有効性が示されました。椎体骨折についてはすべての薬において有効性が示されました。大腿骨近位部骨折についてはビスホスホネート、デノスマブ、副甲状腺受容体作動薬、ロモソズマブの有効性が示されました。

現在発売されている骨粗鬆症薬の多くが骨折予防効果を有していることが示されましたが、その中でも骨形成促進薬はビスホスホネートと比較しても有効性の高さを示しているようです。値段の高さや、注射であることに抵抗を感じる場合もありますが、しばらくは骨形成促進薬が治療の中心になっていくと考えています。

 

                            (院長 牧尾 善幸)

2023年06月12日