変形性膝関節症における至適運動量について

梅雨末期の大雨により各地で大きな被害が出ているようです。被害にあわれた方が1日でも早く通常の日常を取り戻せるようにと願っております。

当院では現在多くの膝関節痛の患者さんに来院いただいております。大部分は変形性膝関節症が原因であり患者さんに応じて各種内服薬の処方、関節内ヒアルロン酸注射等行っておりますが、同じようにリハビリ治療も重要だと考えています。リハビリ治療の中でも関節可動域訓練、筋力増強訓練が有効で日本整形外科学会のガイドラインでも推奨の強さ1:強い(実施することを推奨する)になっています。ただしどの運動を、どれくらいの強さで等については様々な意見があり現在患者さんに応じて至適運動量を決定しているのが現状です。

2021年2月16日のJournal of American Medical Association(JAMA)に

Effect of High-Intensity Strength Training on Knee Pain and Knee Joint Compressive Forces Among Adults With Knee Osteoarthritis

という論文が掲載されています。50歳以上、BMI25-40、レントゲン上K-L分類2-3の変形性膝関節症の患者さん(337人)に対して、主要アウトカムを18か月後の膝関節痛、膝関節にかかる力と設定し、高強度筋力トレーニング群、低強度筋力トレーニング群、注意コントロール群の3つに無作為に割り付けられました。結果は18か月の時点において高強度筋力トレーニング群、低強度筋力トレーニング群ともに疼痛スコアに統計学的有意差はないという結果になりました。分かりやすく言うと痛みの改善のために筋力トレーニングは大事だが、強い、回数の多い運動をした時と、ほどほどに頑張った時では痛みの改善にあまり変わりはないという事です。

すべてのことに言えますが、何事にも程よく、バランスよく行うことが大事だと思っています。                 (副院長 牧尾 くみ子、院長 牧尾 善幸)

2023年07月10日