「インフルエンザワクチンは打った方がいいのでしょうか?」

 朝晩の冷え込みが厳しさを増してきて、いよいよ本格的な秋到来となっています。この時期になると例年感染症(特にインフルエンザ)の流行が発生します。ここ数年は新型コロナウイルス感染症の流行の為、全国民がマスクの着用を行い、手洗いうがいの励行を行ったおかげでインフルエンザ感染症の患者さんをほとんど診察していませんでしたが、令和5年5月以降の新型コロナウイルス感染症の5類移行後に、いろいろな制限が緩和された影響かインフルエンザに罹患した患者さんを診察するようになりました。

 当院では令和5年10月から随時インフルエンザワクチン接種を開始しています。今回はインフルエンザワクチンについて安全性や有効性を中心に説明したいと思います。

 インフルエンザに罹患すると高齢者や基礎疾患を持つ患者さんでは原疾患の増悪や二次的な呼吸器感染症を起こしやすくなり入院や死亡の危険性が出てきます。インフルエンザワクチンの有効性に関してはワクチンを接種すればインフルエンザに罹患しないというものではありませんが発病を阻止する効果があり、重症化するリスクを軽減する効果が報告されています。厚生労働省のデータによると「65歳以上の高齢者施設に入所している高齢者において34-55%の発病を阻止し82%の死亡を阻止している」ようです。同じく「乳幼児のインフルエンザワクチンの有効性については概ね20-60%の発病阻止効果があったと報告されており、重症化予防に関する報告も散見されます」と記載されています。18-64歳の健康成人における有効性は海外データではありますが、有効性59%と算出されておりすべての成人においてワクチンの有効性が示されているといえます。通常ワクチン接種後2週間から抗体が産生され、約5か月間は抗体が有効値を保つことから遅くとも年内には接種をしておいた方が良さそうです。

 我が家では例年インフルエンザワクチンを全員に接種しています。世のなかのすべての親御さん同様に我が家の息子たちも小さい頃はワクチン接種に激しい抵抗行為があり、いろいろな手段(おかし、おもちゃ、ゲーム等)を駆使してなんとか接種をしていたことが懐かしく思い出されます。今は昔ほど抵抗はありませんが、やはり年1回の憂鬱な行事であることには変わりないようです。

 すべての人々が正しくワクチンの効果が得られるように、1,ワクチンの確保を確実に、2,温度を含めた正しい管理をし、3,できるだけ痛みの出ないような接種に心がけてまいります。        (副院長 牧尾 くみ子   院長 牧尾 善幸)

2023年10月28日