ワクチン接種後の肩の痛みについて  SIRVAとは?

開院後2か月が経過いたしました。よりよい医療を提供すべく皆で日々研鑽中です。暑さに負けず頑張っていこうと思っています。今回はワクチン接種後の肩の痛みについてのお話です。

ワクチン接種後に局所的な免疫反応により一時的に摂取部位の痛み、腫れを起こすことがありますが通常は数日で自然と軽快します。ところが接種後2週間を超えても肩の痛みが持続する方がいらっしゃいます。このような場合SIRVA(Shoulder Injury Related to Vaccine Administration)を発症している可能性があります。SIRVAとはワクチン接種に関連した肩障害のことで肩の疼痛、可動域制限(腕が上がりにくくなった、後ろに回りにくくなる)といった症状が発生します。いわゆる五十肩といわれる症状とよく似ています。三角筋下滑液包という部位に不適切に薬液が注入されたことが原因と言われています。針の刺入の深さに関係するので、筋肉内注射では発生する可能性がありますが皮下注射ではおそらく発生しません。アメリカではインフルエンザワクチン接種は筋肉内注射で行われており(日本では皮下注射)その概念は2010年頃には知られていたようですが日本では2020年以降に認知されてきたように思います。日本で筋肉内に新型コロナワクチン接種するという国家的プロジェクトが始まったためです。大多数の国民がそれぞれ数回の筋肉内注射を施行されたわけですから自ずとその注射後に発生する問題も増えてくるという事です。ご自分でも注射の影響とは分からずに、肩の痛みで悩んでいる方も多いのではと思っています。当院にもワクチン接種後の肩の痛みを訴える患者さんが来院されています。各種治療で治療成績は良いようです。適切に診断し、治療へと結びつけることで多くの患者さんの助けとなりますよう日々努力してまいります。

 

               (院長 牧尾 善幸  副院長 牧尾 くみ子)

 

2023年07月24日