砂糖入り飲料水と肝臓の病気について

9月も下旬となり暦のうえでは秋を迎えていますがまだまだ暑い日が続いています。水分管理や睡眠管理等できることをしっかりやっていこうと思っています。水分補給のためにジュース等の清涼飲料水を飲むことも時々はあると思いますが、量が多いと危険といえるかもしれません。JAMA(Journal of American Medical Association)2023年8月23日に

Sugar-Sweetened and Artificially Sweetened Beverages and Risk of Liver Cancer and Chronic Liver Disease Mortality

のタイトルで論文が掲載されました。1993年から1998年にかけて登録された98786人の閉経後のアメリカの女性を20年間追跡し、砂糖入り飲料水、人工甘味料入り飲料水の摂取量と肝臓癌、慢性肝疾患への影響について調査されました。主要アウトカムは肝臓癌発生率、慢性肝疾患(NASH、肝繊維症、肝硬変、アルコール性肝疾患)による死亡率と決定されました。結果は砂糖入り飲料水を1日1杯以上摂取する人は、1か月に3杯以下の人と比べて肝臓癌のリスク、慢性肝疾患の死亡率が優位に高いという結果が出ています。人工甘味料については有意差なしの結果でした。因果関係等については不明ですが高血糖が引き起こす慢性炎症が発がんのリスクになっているのかもしれません。これらの結果から過度に砂糖入り飲料水の危険性を危惧する必要はないと思いますが必要以上の摂取は控えたほうが良さそうです。肝臓癌の主要リスクであるB型肝炎、C型肝炎はある程度制御できるようになった時代において、アルコール性肝疾患やNAFLDの早期発見、早期介入が重要であると考えています。        (院長 牧尾 善幸)

2023年09月24日